学生時代は授業や部活動で運動する機会がたくさんあったのに、社会人になった途端に減ってしまったという人も多いのではないでしょうか。職業柄デスクワークやリモートワークが多い人は、特に運動不足を実感しているかもしれません。
社会人が運動不足になる理由や運動不足が体に与える影響、運動を習慣化するためのヒントを紹介します。
運動習慣のある人は男性33.4%、女性25.1%と少ない

WHO(世界保健機関)は、健康増進のために成人が週に150分~300分の中強度の有酸素運動を行うことを推奨しています。中強度の運動とは座位安静時の3~6倍の強度の運動を指し、具体的にはラジオ体操や散歩、ウォーキングなどです。しかし、2010年以降の調査によると、世界の成人の23%がこの基準を満たしておらず、社会人の4人に1人は運動不足と言える状況です。
一方、日本の状況はさらに深刻です。厚生労働省が実施した2019年の「国民健康・栄養調査」では、1回30分以上の運動を週2回以上実施し1年以上継続している「運動習慣のある人」の平均は、男性で33.4%、女性で25.1%でした。それ以外の人々は多少運動しているとはいえ、運動習慣のない人が男女ともに70%前後いる状況です。
2023年に文部科学省が実施した「スポーツの実施状況等に関する世論調査」では「仕事や家事が忙しいから」という理由が、男女ともに運動不足の最も多い理由でした。次いで「面倒くさいから」を挙げる人も多く、「お金に余裕がないから」「運動・スポーツが嫌いだから」「場所や施設がないから」「仲間がいないから」などの理由も挙がっています。
社会人が定期的に運動するメリット

運動は仕事面でもいい影響を与えます。その一部を以下に紹介します。
- 集中力が上がる…運動は脳への刺激になるため脳が活性化し集中力が高まるといわれています。仕事の生産性アップにもつながります。
- 疲れにくくなる…適度な運動習慣によって筋力の増加、体力アップが期待できます。体力がつき疲れにくくなると、集中力も高まり、仕事面のパフォーマンスもアップします。
- 仕事に意欲的に取り組める…運動にはストレスの解消やうつ病の予防・改善などの効用もあるといわれています。運動によってメンタル面の不調の改善が期待でき、仕事への意欲や判断力、集中力の高まりによって成果にも結びつきやすくなります。
社会人が運動を習慣化するためのヒント

社会人が運動不足を解消するには実際どうしたらいいのでしょうか。
先ほど紹介したスポーツ庁の調査によると、この一年間に実施した運動についての質問で多かった回答は、「ウォーキング(散歩・ぶらぶら歩き・一駅歩きなどを含む)」で60.9%でした。次いで、トレーニング、体操、ランニング(ジョギング)が続きます。いずれも自分のペースで気軽にチャレンジしやすい運動です。ここでは、社会人が運動を習慣化するためのヒントを紹介します。
マイペースでできる運動から始める
簡単に始められる運動としては、ランニングやサイクリングがあります。オンラインヨガなど自宅で動画を見ながらできる運動は、忙しい人におすすめです。
また、朝に15分程度のウォーキングもおすすめです。デスクワークが多く座っている時間が長い人は昼食後の散歩や、通勤中の階段の昇り降りなど意識的に動くようにしましょう。歩けるときはバスや電車を使わず、一駅分歩くのも効果的です。
休日は30分~1時間の運動を
休日は平日よりも時間を確保できるよう意識してみましょう。時間を取ってYouTubeなどで提供されているヨガや筋トレなどの運動プログラムを活用するのがおすすめです。また室内用のコンパクトな運動器具を購入して、自宅トレーニングに励むのもよいでしょう。
子育て中などで運動時間の確保が難しい場合でも、公園で子どもと走り回って遊ぶことで十分な運動になります。
モチベーションアップに役立つアイテムを探そう
自分に合ったモチベーションアップ方法があると運動の習慣化につながります。やる気になる音楽を集めてプレイリストを作ったり、スポーツジムのランニングマシンで好きなテレビ番組に合わせてウォーキングを行ったりするなど、テンションが上がる方法を探しましょう。
スマホアプリで歩数を記録するのもおすすめです。いつもスマホを持ち歩くことで運動だけでなく家事などでの生活活動も記録できます。歩数を記録することで、たとえば1週間でどのくらい歩いたか可視化できます。定期的に記録を見返すことで「ここまで頑張ってこられた」などモチベーション維持にもつながるでしょう。
まとめ
社会人が運動不足になる要因はさまざまですが、20代~40代は仕事や家事、育児などで忙しい時期であることが一因としてあるようです。現在は健康に支障がなくても、運動不足が続くと生活習慣病になるリスクが上がるので今から将来に備えて運動不足の解消に努めることが大切です。手軽に始められるウォーキングやサイクリングなどから始めてみましょう。