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栄養失調とは?影響や対策・注意点まで解説

栄養失調は必要な栄養素が不足することで体にさまざまな悪影響をおよぼしている状態です。免疫力の低下、成長の遅延、エネルギー不足など、健康全般に深刻な影響をおよぼす可能性があります。本記事では、栄養失調が体に与える具体的な影響やその原因、予防や対策について詳しく解説します。

栄養失調とは

栄養失調とは体に必要な栄養素が不足している状態です。成長遅延、免疫機能の低下、体力や集中力の減少など、さまざまな健康問題を引き起こします。また、ビタミンやミネラルの欠乏によって特定の病気が発生することもあります。

栄養失調の原因

栄養失調の原因はおもに2つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

栄養の極端な偏り

栄養失調の原因の1つは、栄養の極端な偏りです。たとえば、毎日パスタやパン、うどんといった炭水化物中心の食事ばかりを摂取していると、ビタミンやミネラルが不足する可能性があります。栄養に極端な偏りがあると健康に悪影響をおよぼす可能性が出てきます。

疾患による栄養の吸収率の低下

疾患による栄養吸収率の低下も原因の1つです。消化器系の疾患や慢性疾患などがある場合、食事から摂取した栄養素が体内で適切に吸収されなくなります。たとえばクローン病やセリアック病といった腸の病気は栄養吸収を妨げるため、どれだけ栄養価が高い食事を摂っても、栄養失調のリスクが生じます。少しでも疾患を疑うような症状がある場合は医師に相談することが大切です。

栄養失調による心身への影響

栄養失調による心身への影響について詳しく見ていきましょう。

免疫力が低下する

栄養失調により体が必要とするビタミンやミネラルが不足すると、免疫系の機能が低下します。たとえば、ビタミンCや亜鉛が不足しているときは白血球の働きが弱まるため、風邪やインフルエンザにかかりやすい状態になります。感染症に対する抵抗力も失われるため、治療期間が長引き、重症化するリスクも高まるため注意が必要です。

慢性的な疲労感や倦怠感に悩まされる

栄養が不足すると、体内でエネルギーを効率的に生成できなくなり、常に疲労感や倦怠感に悩まされることになります。たとえば、鉄分が不足する鉄欠乏性貧血になると酸素運搬能力が低下し、日常生活のちょっとした動作でも疲れを感じやすくなります。その結果、集中力やパフォーマンスが低下し、仕事や学業に影響が出ることになりかねません。

高齢者は筋力の低下によって転倒のリスクが高まる

筋肉を維持するためには十分なたんぱく質や他の栄養素が必要ですが、これらが不足すると筋力が低下します。特に高齢者においては筋力の低下が転倒などのリスクを高めるため注意が必要です。たとえば普段から肉や魚、豆類を十分に摂取しない高齢者は筋肉量が減少し、歩行時にバランスを保つことが難しくなります。その結果、転倒しやすくなりけがを引き起こすことになりかねません。

精神疾患のリスクが高まる

栄養不足が精神的な健康に与える影響は深刻です。特にビタミンB群やオメガ3脂肪酸は、脳の正常な機能を維持するために必要な栄養素です。これらの栄養素が不足すると、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、うつ病や不安障害などの精神疾患のリスクが増加します。精神疾患を発症していないとしても、気分の落ち込みがある際は栄養不足を疑うことが大切です。ただし自己判断は禁物なため、まずは医師に相談しましょう。

日本人の食生活の状況

令和元年に実施された「国民生活基礎調査」によると、食習慣に関心はあるが改善するつもりはないと答えた人の割合が最も多く、男性が24.6%、女性が25%でした。また、健康な食習慣の妨げとなる要因として、「特にない」と回答した人の割合が35.3%と最も高くなっています。次いで「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がない」と回答した人が27.5%、「面倒くさい」と答えた人が25.3%でした。このように、ライフスタイルが栄養の摂取状況に影響を与えることがわかっています。

栄養失調を見逃さないためのセルフチェック

栄養失調かどうかは自分では気づくことが難しいでしょう。そんな時は以下の項目を参考にセルフチェックをしてみましょう。

  • 思い当たる原因がないのに体重が減少した
  • 低体温(35度台)
  • 寒がりになり、手足が冷える
  • 顔色が悪い
  • 髪が薄くなった
  • 低血圧になった
  • 脈が遅くなった
  • 月経周期が乱れている
  • 低血糖の症状としてぼんやりすることがある
  • 皮膚が乾燥し、尿量が減少した
  • 腹痛や腹部膨満感、便秘がある
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 筋力が低下した
  • 疲れやすくなった

複数当てはまる場合は栄養失調の可能性があるため、早めに医師に相談することが大切です。また、いずれか1つしか当てはまらない場合も、普段と何か違うなと感じた場合は相談してみましょう。

栄養失調をふせぐ!今日からできる改善方法

栄養失調を改善するためには、日常の食生活を見直し、必要な栄養素をバランスよく摂取することが重要です。以下に具体的な方法を解説します。

バランスの取れた食事を心がける

栄養失調を防ぐためには、バランスの取れた食事が不可欠です。朝食を抜く、外食やインスタント食品に頼るといった偏った食事は栄養素の不足や過剰摂取を引き起こし、健康に悪影響をおよぼします。高塩分・高炭水化物・低動物性たんぱく質といった食事を避け、野菜、果物、肉、魚、乳製品などをバランスよく取り入れましょう。

取り入れたい食材の例

  • 緑黄色野菜:ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜は、ビタミンやミネラルが豊富です
  • 果物:りんごやバナナといった果物には、ビタミンCや食物繊維がたくさん含まれています
  • 動物性たんぱく質:鶏肉や牛肉などの動物性たんぱく質は、筋肉を作る材料です
  • 青魚:サバや旬のさんまなどの魚には、オメガ3脂肪酸やビタミンDが豊富です
  • 乳製品:ヨーグルトやチーズなどの乳製品は、骨や腸内環境の健康に役立ちます。カルシウムや乳酸菌が摂取できます。

これらを取り入れた1日の食事例をご紹介します。

【1日の食事例】

  • 朝食:オートミールにバナナとナッツをトッピングし、ヨーグルトを添える
  • 昼食:鶏肉のサラダボウルに、ほうれん草やトマト、アボカドを加え、全粒パンを添える
  • 夕食:サバの塩焼きに、ブロッコリーの蒸し物と玄米を合わせる

このように、栄養バランスの取れた食事を心がけることで栄養失調を改善できるでしょう。とはいえ、毎食の栄養バランスを考えるのは中々難しいものです。毎食、少なくとも一つ野菜のメニューを取り入れることや、週に一度は魚を食べるように心がけることで、栄養バランスを保ちやすくなります。

適切な栄養素の摂取

適正な栄養素の摂取は、健康維持に欠かせません。栄養素の役割や含まれる食材例を紹介します。

栄養素 役割 具体的な食材例
糖質 おもに炭水化物から得られ、日常の活動に必要なエネルギーを確保 ご飯、パン、パスタ
脂質 細胞膜の構成やホルモンの材料 オリーブオイル、ナッツ、アボカド、魚
ナトリウム 体内の水分バランスを維持 塩(調味料)、塩焼き
カリウム ナトリウムの排出を促進し、血圧を安定させる バナナ、ほうれん草、アボカド
食物繊維 腸内細菌バランスを整える 野菜、果物、全粒穀物
ビタミンCやビタミンE 抗酸化作用 ビタミンC(オレンジ)、ビタミンE(アーモンド)
カルシウム 骨や歯の健康を維持 牛乳、小魚、豆腐

朝食を欠かさない

朝食をしっかり摂ることで、午前中の活動に必要なエネルギーを補充し、集中力や注意力を高める効果が期待できます。たとえば、和食なら白ご飯や玄米に焼き魚、ほうれん草のおひたし、味噌汁、果物を組み合わせることで、炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取できます。洋食なら全粒パンやシリアルにスクランブルエッグ、サラダ、ヨーグルト、果物を組み合わせるとよいでしょう。

栄養成分表示を参考にする

外食や市販食品を購入する際には、栄養成分表示を参考にすることが大切です。自分が摂取する栄養素のバランスを把握することで、過剰摂取や不足を防ぐことができます。

たとえば脂肪摂取量に注意を払う場合は、ポテトチップスやフライドチキンなど高脂肪食品を控え、ナッツやアボカドなど、良質な脂肪を含む食品を選ぶのがおすすめです。また、塩分摂取量に注意を払う場合は、1日の塩分摂取量が6gを超えないようにしましょう。

栄養成分表示を参考にすることで食物繊維やビタミン、ミネラルの摂取量も確認することができます。買い物をする際などには、積極的に表示を確認してみましょう。

まとめ

栄養失調は適切な栄養素の摂取ができていないために生じる深刻な健康問題です。偏った食事や疾患による栄養吸収の低下などがおもな原因のため、まずは今日からバランスの取れた食事を心がけて、健康的な生活を保つよう心がけましょう。

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