糖質制限で減量を考えている方は、痩せるスピードを気にしていることが多いようです。本記事では糖質制限を成功させるコツについて紹介します。メリットやデメリットを理解したうえで糖質制限を検討してみてください。
糖質制限で痩せるスピードは?
ここでは糖質制限の減量は、どれくらいで効果が実感できるのかを解説します。
初期段階の体重減少は水分量が減ったことによるケースがほとんど
糖質制限を始めるとすぐに体重が減少することがあります。しかし初期段階の体重減少の多くは、体内水分量が減ったことによるケースがほとんどです。これは糖質が水分と結びつきやすい性質があるため、糖質の摂取量が減ると、それに伴って体内水分量も減少するからです。
数週間後に体重が減少する人が多い
エネルギー源である糖質を極度に制限すると、体が飢餓状態だと認識して、糖質ではなく脂質をエネルギー源として使い始めます。すると体内の脂質が使われるようになり、体重減少が始まるという仕組みです。体が飢餓状態だと感じるまでの期間には個人差があるものの、およそ数週間で体内の脂質が使われるようになるといわれています。
数カ月経過すると停滞期が訪れる
糖質制限によって摂取エネルギーが減ると、体が少ないエネルギーでも活動できるように適応し始めます。これが停滞期の原因になると考えられています。糖質制限することでエネルギー摂取量が減るため、体は効率よくエネルギーを使おうとするのです。その結果、基礎代謝や消費エネルギーが低下し減量が停滞することがあります。日本人の食事摂取基準(2020 年版)によると、糖質の1日の必要最低量は100g程度です。過度な糖質制限をせずに、無理のない範囲で取り組みましょう。
糖質制限を始めるメリットとは
糖質制限には体重減少以外にもさまざまなメリットがあります。健康や美容面でもメリットがあるため、体重減少以外の目的で糖質制限に取り組む方も増えているようです。実際にどういったメリットがあるのか、ここでは2つ紹介します。
効果的に体重減少を目指せる可能性がある
独立行政法人 農畜産業振興機構の資料によると、アトキンス法と呼ばれる高たんぱく質、低糖質の食事が最も体重を減らし、高糖質の食事は体重を減らさないというデータがあります。また、血糖値の上昇によってインスリンが分泌され、これにより脂肪細胞がブドウ糖を取り込むことが肥満の原因であるという意見もあるため、糖質を制限して血糖値の急上昇を防ぐことが体重減少につながると考えられます。
肌状態を改善できる効果が期待できる
糖質制限によって摂取する糖質の量を減らせば、糖化が進みにくくなり、肌状態を改善できる可能性があります。糖化とは、余分な糖質が体内のたんぱく質や脂質と結びついて、シミやシワなど肌トラブルの原因になる現象です。適度な糖質制限は肌状態の改善にとってもメリットがあります。
糖質制限は危険?デメリットとは
糖質制限は実際に糖尿病の改善を目指すために医療現場でも取り入れられていますが、メリットばかりではありません。やり方を間違えたり、長期間続けたりすると日常生活や健康面でもデメリットがあるため気をつけましょう。ここでは糖質制限の主なデメリットを2つ紹介します。
頭がうまく働かなくなる可能性がある
脳はブドウ糖を主なエネルギー源としているため、糖質制限によってブドウ糖の摂取量が減ると、脳へのエネルギーが不足します。これにより集中力や注意力が低下したり、思考がうまくまとまらなかったりするかもしれません。しかし体が飢餓状態になると糖質ではなく脂質をエネルギーとして使用するように、脳もまた飢餓状態になると脂肪の分解によるケトン体を利用するようになります。最終的には脳が必要とするエネルギーの約75%までケトン体を利用可能になるといわれているため、糖質制限をしばらく続けると少しずつ脳の状態がもとに戻る可能性があります。
便秘になる可能性がある
炭水化物には糖質だけでなく食物繊維も含まれているため、糖質を制限することで便秘になる可能性があります。また糖質は水分と結びつきやすいため、体内の水分量が減り便秘が悪化するかもしれません。体内の水分が減って体重が減少すると「減量がうまくいっている」と感じるかもしれませんが、腸内環境が悪化すると免疫機能に悪影響を及ぼす可能性があります。糖質制限中は水分を十分に摂り、海藻類やきのこ類などの食物繊維を意識的に摂ることが大切です。
糖質制限を成功させるコツ
糖質制限を成功させるには、無理なく健康的な食生活を心がける必要があります。また食べ方によって効果が変わることもあるため、次の3つのポイントを意識してみてください。
脂質の摂取量に注意する
糖質制限をしていると、たんぱく質の摂取量が増えて、脂質の摂取量が増加する可能性があります。糖質というエネルギーが減ってしまったとき、脂質は糖質に代わるエネルギー源となります。しかし、摂取しすぎるとカロリーオーバーにつながるほか、血液中の脂質の値が基準値から外れる脂質異常症を発症するリスクが高まるため注意が必要です。こうしたリスクを回避するためにも、脂質の摂取量や脂質の「質」にこだわった食事メニューを心がけましょう。脂質は1日の摂取カロリーの20%以上30%未満に抑えるのが目安といわれています。たとえば18~29歳の男性なら1日に63.9g程度、18~29歳の女性なら52.2g程度が目安です。インスタント食品や加工食品、脂身の多い肉類などはできるだけ避け、魚やナッツ、オリーブオイルなど、良質な油を摂ることが大切です。
糖質の選び方や食べる順番に気をつける
糖質制限を行う際は、必要最低限の糖質を食事に取り入れながら、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。たとえば、玄米やそばは低GI食品と呼ばれており、炭水化物のなかでも血糖値がゆるやかに上昇するという特徴があります。また空腹の状態で糖質が含まれている食べ物を摂取すると血糖値が上がりやすくなるので、食事は食べる順番にも注意が必要です。サラダや小鉢から先に食べるようにして、次に肉類や魚類のメインメニューや汁物、最後にご飯などの主食を食べるようにして、血糖値を急激に上げないようにしましょう。
過酸化脂質を増やさない努力も大切
摂りすぎた脂質は酸化すると過酸化脂質に変化し、肌や血管、細胞などに悪影響を与えるといわれています。過酸化脂質を増やさないためにはファイトケミカルを持つ食材を摂取するのがおすすめです。ファイトケミカルの中でも注目されているのは、ポリフェノール、カロテノイド、含硫化合物です。このファイトケミカルが含まれる主な食品は次のとおりです。
- ポリフェノール:ブルーベリー、ブドウ、大豆、緑茶、果実類、カカオ、ブロッコリー、タマネギなど
- カロテノイド:ニンジン、カボチャ、ミカン、ホウレンソウ、トマト、スイカなど
- 含硫化合物:ダイコン、ワサビ、ダイコン、ワサビ
ファイトケミカルは健康維持に重要といわれています。野菜や果物、飲み物など、バランスよく食事に取り入れ、健康を目指しましょう。
糖質制限の停滞期を乗り越えるコツ
ここでは、停滞期を乗り越えるための具体的な対策を紹介します。
糖質の摂取量や種類を変えてみる
停滞期を迎えたら糖質の摂取量を一時的に増やす、摂取する糖質の種類を変えてみるなど、アプローチを変えてみましょう。体重減少がストップしたからといってさらに糖質の量を減らすと、体調を崩すなどのトラブルにつながる可能性があります。適切な糖質摂取量を維持しましょう。
運動を取り入れてみる
消費エネルギーである基礎代謝が低いと、糖質を制限しても体重減少がスムーズに進まない可能性があります。基礎代謝は年齢や生活習慣によって低下するものです。筋肉量が多い人は基礎代謝も高いので、筋トレなどを取り入れてみると停滞期を抜け出せる可能性があります。筋トレなど筋肉をつけるための運動も意識して取り入れてみましょう。
まとめ
糖質制限で短期間に体重を減らした成功例もありますが、続けるうちに停滞期に入って挫折したり、健康面でリスクを高めたりする可能性もあります。糖質を減らすことで食事のバランスが崩れやすくなるため、やりすぎには注意が必要です。健康的な体を目指して減量することは大切ですが、栄養バランスを保ちながら無理のない糖質制限を心がけましょう。