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理想の睡眠時間はどのくらい?世代別の睡眠時間と睡眠不足・睡眠過多の危険性

理想の睡眠時間には個人差がありますが、年齢ごとに理想とされる睡眠時間の目安はあります。本記事では、世代別の理想の睡眠時間を紹介します。また、睡眠不足を放っておくデメリットや睡眠の質を高める方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

理想の睡眠時間は何時間?

理想の睡眠時間は年齢によって異なりますが、睡眠に関する研究データから理想的な睡眠時間が明らかになっています。適切な睡眠時間の目安や、睡眠の取りすぎや寝だめがどのような影響を与えるのか、見ていきましょう。

理想の睡眠時間は年齢によって違う

子どもの頃は睡眠時間が長く、加齢によって睡眠時間が短くなっていきます。必要な睡眠時間は年齢によって異なり、年齢ごとに必要な睡眠時間は次のとおりです。

年齢 必要な睡眠時間
15歳前後 約8時間
25歳 約7時間
45歳 約6.5時間
65歳 約6時間

このように25歳以上は20年ごとに約30分ずつ必要な睡眠時間が減少します。

睡眠時間は季節によって変化している

睡眠時間は夏季と比べると冬季の方が、10~40分程度長いというデータがあります。夏季は気温や湿度が高くて寝苦しかったり、寝ている間に目が覚めてしまったり、眠りが妨げられるケースが多いからです。もともと睡眠時間が短い人は、夏季はとくに寝不足になりやすいので注意しましょう。

もっとも病気になりにくいのは7時間睡眠

7時間睡眠の人は生活習慣病やうつ病の発症および死亡リスクがもっとも低いといわれています。多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告によると、睡眠時間が10時間以上のグループでは、男女ともに年齢が高く、心理的ストレスを感じている人が多い傾向があります。一方で、睡眠時間が5時間以下の男性は、BMI値が高く、心理的ストレスがあると感じている人が多いという結果が出ました。このことから、睡眠時間が短すぎたり長すぎたりすると、肥満や心理的ストレスが増えるリスクが高まるといえます。

睡眠時間は長ければいいというわけではない

睡眠時間が長すぎても健康面においてリスクがあります。多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告によると、睡眠時間が7時間のグループと比べて、10時間以上のグループでは死亡全体のリスクが男性で1.8倍、女性で1.7倍高いという結果が出ています。そのため、睡眠時間が7時間よりも大幅に長い人は、睡眠時間を調整してみてください。

寝だめは避けるべき?

数日にわたって睡眠不足が続いている状態を「睡眠負債」といいます。この睡眠負債を解消するために、休日に長時間寝てしまう「寝だめ」をする人もいるでしょう。しかし、休日に寝だめをすると平日と休日で生活リズムにずれが生じ、体内時計のサイクルが乱れてしまいます。

一方で、休日と平日を通して睡眠時間が6~7時間程度の人と比較すると、寝だめをする習慣がある人の方が死亡リスクが低いというデータもあるため、寝だめが一概に悪とはいえません。

とはいえ、寝だめをしてしまう人の多くは睡眠負債を抱えているので、平日の睡眠時間を30分でも1時間でも増やして睡眠負債を抱えないように心がけるのがおすすめです。

自分にとって理想の睡眠時間を見つける方法

科学的に導き出された理想の睡眠時間が、自分にとって理想の睡眠時間とは限りません。短時間睡眠でも日中に眠気を感じない人もいれば、長時間睡眠を取らないと睡眠負債を抱える人もいるからです。自分にとってベストな睡眠時間は、次の方法で導き出すことができます。

  1. 睡眠時間を決めて寝る時間と起きる時間を設定して1週間ほど過ごしてみる
  2. 2週間目は睡眠時間を15~30分ほど延ばして、起床時や日中の変化を確認する
  3. 2週間目で睡眠が不足していると感じたら、3週間目は睡眠時間をさらに15~30分ほど延ばす。反対に設定した睡眠時間よりも早く起きてしまうようであれば、睡眠時間を短くする。
  4. 2、3を繰り返しながら日中の気分やパフォーマンスなどを確認し、調子がいいと感じる睡眠時間で過ごす。

理想の睡眠時間は1日や2日では判断できないので、期間を決めて睡眠時間を変えながら模索するのがおすすめです。

睡眠に影響を与える要因とは?

ぐっすり眠れない人は、睡眠時無呼吸症候群などの病気やホルモンバランスの変化が睡眠を妨げているかもしれません。心当たりがある場合は、病院を受診して相談するのがおすすめです。

睡眠時無呼吸症候群

いびきをかく、睡眠中にのどが狭くなり窒息感を覚えている人は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。とくに肥満の人や高齢者は、睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクが高いといわれています。睡眠時無呼吸症候群は高血圧や糖尿病の原因となるので、睡眠時間を確保していても睡眠不足のような状態が慢性的に続く場合は、専門機関を受診するのがおすすめです。

女性ホルモン

女性は月経や妊娠、育児、閉経など、さまざまな影響でホルモンバランスが大きく変化することがあります。たとえば月経では、月経周期ごとに基礎体温の変化を繰り返すため、体内時計のずれが生じやすくなります。閉経後の更年期には、ホルモンの影響で自律神経の調整がうまくいかなくなり、ほてりや発汗などの症状(ホットフラッシュ)が起きて熟睡を妨げます。こうした睡眠をはじめ、心身に大きな影響が生じている場合は、自力で解決しようとせずに病院を受診してみてください。

睡眠不足を放っておくデメリット

睡眠不足を放っておくと、健康面やメンタル面に悪影響を及ぼす可能性があります。最悪の場合、病気を引き起こすリスクもあるため、睡眠不足が続いているという自覚がある人は、早めに対処するのがおすすめです。

睡眠不足は食欲増加と体重増加につながる

普段、睡眠不足ではない人でも睡眠時間が4時間という睡眠不足状態が2日間続くと、通常の睡眠時間の日と比較して食欲が増すといわれています。そのため、慢性的な睡眠不足は体重増加につながるかもしれません。また、睡眠不足で疲れていると、手軽に食べられるファストフードやインスタント食品を選ぶ人も多いでしょう。これらのジャンクフードは血糖値が急激に上昇して太りやすくなるので、さらなる体重増加につながる可能性があります。

睡眠不足はメンタルの不調を引き起こす

睡眠不足は精神疾患と大きな関わりがあり、メンタルの不調を引き起こす可能性があります。とくに、寝つきが悪い、寝ているときに何度も目が覚めるなど、睡眠で疲れが取れていないと感じている人は、気分が落ち込む「抑うつ状態」に陥りやすいことがわかっています。また、睡眠不足の状態が続くと、集中力や注意力が低下したり、やる気が出なかったりなど、日中のパフォーマンスにも悪影響を与えます。仕事の重大なミスや交通事故などにつながるリスクもあるため、十分な注意が必要です。

睡眠不足は病気のリスクを高める

睡眠不足は、肥満だけではなく、高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中などの病気の発症リスクを高めます。実際に、「寝つきが悪い」「寝ている間に何度も目が覚める」といった睡眠に関する悩みを抱えている人は、よく眠れている人と比較すると、糖尿病になるリスクが1.5~2倍高いことが知られています。また、睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣病のリスクを高め、5~10年後には高血圧、心不全、虚血性心疾患、脳血管障害に発展する可能性が高いことがわかっています。

質の高い睡眠を取る方法

睡眠時間を確保しているのに眠気を感じたり、疲れが取れなかったりする場合は、睡眠の質が低下しているかもしれません。同じ睡眠時間でも、睡眠の質を高めるだけで睡眠不足が解消できる可能性があります。睡眠の質は生活習慣を少し変えることで高められるので、ぜひ今日から取り組んでみてください。

寝る前の過ごし方に注意する

寝る前の過ごし方は睡眠の質に大きく影響します。湯船に入浴すると体温が上がるため、就寝の1~2時間前に入浴を済ませることで、就寝時間までに熱が発散されて眠りやすい状態をつくることができます。入浴習慣のない方は、生活に取り入れてみてください。また、ブルーライトは睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の分泌を減少させて寝つきを悪くするので、寝る1時間前はできるだけスマホやPCなどを見ないようにするのがおすすめです。コーヒーや緑茶に含まれるカフェインは目が冴えてしまうので、寝る4時間前から控えると、眠りにつきやすくなるでしょう。

リラックスできる環境を整える

照明をつけたまま寝る習慣がある場合、照度に関わらず睡眠中に目が覚める原因となります。そのため、寝るときは照明を消すのがおすすめです。また、電球の色味も睡眠に影響を与えます。夜間に使う照明の種類は昼光色や昼白色ではなく、暖色系のものを選んでみてください。ただし、LED照明にはブルーライトが含まれているため、夜には眩しさを感じるほど明るくしないといった調光を行うか、暖色系の照明やブルーライトカット機能のある照明を選ぶと良いでしょう。

さらに、夏季のように高温多湿な状態は睡眠を妨げます。夏季の寝室の室温は25~28℃、冬季は18~22℃、湿度は40~60%が理想だと言われています。エアコンや除湿機などを活用して快適に過ごせる環境を整えるのも一つの方法です。睡眠の快適さには寝具やパジャマも大きく関わっているため、体に合った枕を選んだり、吸湿性の高いコットン素材のパジャマやシーツを選んだりするのがおすすめです。

朝起きたときに日光を浴びる習慣をつける

人間の体内にはおよそ24時間サイクルの体内時計が存在しています。しかし、生活習慣や就寝・起床のリズムが乱れると体内時計が狂って、寝つきが悪くなる可能性があります。日光には体内時計をリセットして24時間サイクルに戻すはたらきがあります。また、日光を浴びることでビタミンDの生成が促され、免疫機能を高める効果もあります。そのため、朝起きたらカーテンを開けて、日光を浴びる習慣をつけるのがおすすめです。

まとめ

睡眠時間は多すぎても少なくても良くないといわれています。また、病気になりにくい睡眠時間は7時間といわれていますが、睡眠の質が低下していると睡眠時間をしっかり確保していても睡眠不足になっている可能性があるので注意しましょう。睡眠の質は生活習慣や睡眠環境を整えることによって改善できます。できることから日常生活に取り入れて、健康的な毎日を過ごしましょう。

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