喉が乾燥する原因は空気の乾燥だけでなく、さまざまな理由が考えられます。本記事では喉が乾燥する原因や喉の乾燥が引き起こすトラブル、対処法について解説します。
喉が乾燥する原因

喉が乾燥して不快感があるときは風邪を疑う人が多いかもしれません。しかし、喉が乾燥する原因は日常生活に隠されている場合もあります。ここでは、喉が乾燥するときに考えられるおもな原因を解説します。
室内の空気の乾燥
室内の空気が乾燥していると、必然的に喉も乾燥しやすくなります。とくにエアコンをつけっぱなしで寝ると部屋の湿度が下がりやすくなります。冬場はただでさえ空気が乾燥しやすい時期なので、室内で暖房のためにエアコンをつけていると喉も乾燥しやすくなるでしょう。
室内の湿度は40%以上を目安に保つのがおすすめです。日中のオフィスなどの湿度は事務所衛生基準規則(事務所則)で、40%以上70%以下になるように努めなければいけないと定められています。湿度が40%を下回るとウイルスが飛散しやすくなるほか、湿度が高すぎるとダニやカビが増殖する可能性が高まるためです。
口呼吸
朝起きたときに口の中の渇きが気になったり、口を開けた状態で目が覚めたりすることが多い人は、鼻ではなく口で呼吸する「口呼吸」の状態になっていることから喉が乾燥しているかもしれません。起きているときは鼻で呼吸していても、寝ているときは無意識に口呼吸をしているケースも珍しくありません。いびきが気になる場合は、口呼吸で喉が乾燥してしまう可能性があります。また、鼻づまりなどのアレルギー症状がある場合も、口呼吸になりやすいでしょう。
水分が不足している
人は寝ている間にコップ1杯程度の汗をかくといわれているため、寝ている間に水分が不足して喉が乾燥してしまうケースも少なくありません。起きている日中の時間帯でも、水分が不足すると喉が乾燥することがあります。1日の水の必要量は生活活動レベルが低い人でも 2.3〜2.5 L/日程度といわれていますが、水分を摂取する習慣がない人は排出される水分量が補えず、喉が乾燥してしまう可能性があるでしょう。また、アルコールやカフェインが入っている飲み物は利尿効果が高いため、水分を摂取していると思い込んでいても、実は尿として排出されています。思い当たる人は水分の摂取量や、選んでいる飲み物の種類について見直す必要があるかもしれません。
加齢や薬の副作用
加齢によって唾液の分泌量は低下するため、年齢とともに喉の乾燥が気になる人は唾液の量が関係しているかもしれません。また、緊張や不安な状態、ストレスのかかる状態が続くと唾液の分泌量は低下します。さらに、唾液は抗がん剤、モルヒネ、抗うつ剤、利尿剤など、薬の影響によって分泌量が低下することがあります。薬の服用によって喉の渇きが気になっている場合は、主治医に相談してみるのも一つの方法です。
喉の乾燥が原因で起こるトラブルとは?

喉の乾燥を放っておくと、喉に症状が出たり、喉以外の部分にトラブルが発生したりします。では、喉の乾燥が原因で起こるトラブルについて、詳しく解説します。
喉がかれたりイガイガしたりする
喉の粘膜や粘液は外からウイルスやアレルギー物質が入らないように、予防する役割を持っています。しかし、喉が乾燥してしまうと防御する機能が弱まり、ウイルスやアレルギー物質が喉に侵入しやすい状態となります。すると、ウイルスやアレルギー物質が喉の粘膜に刺激を与えて攻撃するため、喉のイガイガなどの違和感が生まれるのです。悪化すると咳や痰、喉のかすれなどの症状を引き起こし、日常生活に支障が出るケースも少なくありません。
口内炎などのトラブルが起こりやすくなる
喉が乾燥して唾液の分泌量が減ると、口内炎になりやすくなります。とくに咀嚼する際に歯が当たりやすい唇や頬の裏、舌の横は炎症が起きやすいため、注意が必要です。また、唾液は口の中を洗浄する働きも持っているので、唾液の分泌量が減ると虫歯や歯周病など、口腔内のトラブルも起きやすくなります。口腔内のトラブルが頻繁に起きる場合は、早めにかかりつけ医に相談するのがおすすめです。
感染症にかかりやすくなる
喉が乾燥して粘膜や粘液が正常に機能しなくなると、さまざまなウイルスが侵入しやすい状態になり、感染症にかかる確率が高くなってしまいます。とくに空気が乾燥した室内は、空気中にウイルスが浮遊しやすい状態です。さらに喉が乾燥しているとウイルスが容易に侵入できてしまうので、感染症にかかりやすくなってしまうのです。
睡眠の質が低下する可能性がある
睡眠中に口呼吸になっている人や、なんらかの原因で喉が乾燥している場合、喉のイガイガや咳によって目が覚めてしまい、睡眠の質が低下する可能性があります。また、仰向けの寝姿勢は気道が圧迫されるため、起きているときよりも寝ているときに咳が悪化してしまうことも珍しくありません。咳を繰り返すと眠りが浅くなるほか、目覚めてから眠れなくなることもあるでしょう。睡眠の質が低下すると、疲労回復がうまくいかず疲れを持ち越してしまう可能性があります。加えて精神疾患や生活習慣病を引き起こすリスクも高まるので、喉の乾燥が慢性化している場合は注意が必要です。
鼻呼吸なのに喉が乾燥するのはなぜ?
口で呼吸するクセがあると喉が乾燥しやすくなりますが、鼻呼吸をしているのに喉が乾燥することもあります。そういった場合、何が原因なのか、またどのように対処すればいいのか解説します。
鼻呼吸でも空気によって喉が乾燥することもある
鼻で呼吸をしていても、鼻から乾燥した空気を吸い込めば、喉にも乾燥した空気が流れ込みます。そのため、乾燥した空間で鼻呼吸を繰り返すことによって、口呼吸をしていなくても喉が乾燥してしまう可能性があるのです。また、水分が不足している場合も、口呼吸や鼻呼吸に関係なく喉が乾燥する可能性があります。
鼻呼吸なのに喉が乾燥するときの対処法
鼻呼吸なのに喉が乾燥するときのおもな原因は、室内または体内の水分不足があげられます。まずは水分をしっかり摂り、喉を潤すように心がけてみてください。また、湿度が低い場合は加湿器で湿度を40%以上に保つようにしたり、蒸しタオルを顔に当てて蒸気を吸ったりするのも一つの方法です。
喉の乾燥への対策

病気をはじめとしたトラブルに発展する前に、喉の乾燥対策をしておくのがおすすめです。すぐに取り組める方法もあるので、ぜひ参考にして喉の乾燥を予防してみてください。
加湿器や洗濯物で湿度をあげる
部屋の湿度が低い場合は、加湿器などを取り入れて湿度を40%以上に保つのがおすすめです。湿度をしっかり保つことで喉を潤せるほか、ウイルスが活動しにくい状態を作れます。ただし、湿度が60%を超えると不快に感じる可能性があるので、湿度が高くなりすぎないように注意してください。また、湿度が高すぎると雑菌が繁殖したり、カビが発生したりするリスクがあるので気をつける必要があります。
加湿器がない場合は、洗濯物の部屋干しや、濡れたタオルを部屋に置いておくのも一つの方法です。洗濯物を部屋干しするだけでも湿度が10%〜20%上がるといわれているので、加湿器を使用している場合は湿度が上がりすぎないように配慮してください。
口呼吸を防ぐ
口呼吸のクセがある人は、鼻呼吸をサポートするグッズを取り入れるのも一つの方法です。とくに寝ている間に口呼吸にならないようにサポートするグッズは豊富にあります。口が開かないように留めるテープや、頭からあごまで固定するバンドなど、睡眠中に不快に感じないものであれば取り入れてみてもいいかもしれません。また、口呼吸によって喉が乾燥しないよう、保湿マスクを装着して寝るのも効果的といわれています。
鼻づまりやいびきは治療を検討する
アレルギー性鼻炎による鼻づまりや、睡眠時無呼吸症候群、いびきなどがひどい場合は、口呼吸を防ぐように気をつけると呼吸ができなくなり、苦しくなる可能性があるので注意が必要です。このような症状がある場合は、自分でなんとかしようとするのではなく、耳鼻科や睡眠外来を受診し、医師の指示を仰ぐのがおすすめです。治療を受けると鼻づまりやいびきの症状が改善される可能性があるので、慢性化している場合は受診を検討してみてください。
寝る前に水分を摂取する
寝ている間は汗によって水分が失われるため、寝る前に適度に水分を摂取して喉の乾燥を防ぐのも一つの方法です。厚生労働省では、入浴後から寝る前にコップ1杯程度の水分をとることをすすめています。水を飲みすぎると夜中に目覚めてしまう可能性があるので、あくまでも適量に留めておきましょう。また、夜にカフェインの入った飲み物を飲むと利尿作用が働き、尿意で目覚めてしまう可能性があるほか、なかなか寝付けなくなるケースもあります。カフェインの影響には個人差があるものの、コーヒーなどを飲む習慣がある場合は、できるだけ寝る6〜8時間前までを目安にするのがおすすめです。
まとめ
喉の乾燥には空気の乾燥や口呼吸だけでなく、薬や水分の摂取量も関係しています。思い当たることがある場合は、室内の環境や生活習慣を見直して改善することによって喉の乾燥が緩和されるかもしれません。日常的にできる対処法はいくつもあるので、ぜひできることから取り入れてみてください。